2026/04/19 12:00

【療育コラム】「できない」の裏側を紐解く「課題の分析」

「何度言っても、同じことでつまずいてしまう……」
「どうしてうちの子は、着替えや片付けがスムーズにいかないの?」

毎日、お子様と一生懸命に向き合う中で、そんな風に自分を責めたり、出口の見えないトンネルにいるような気持ちになったりすることはありませんか?

子育ては、教科書通りにはいかないことの連続です。特に発達に特性があるお子様や、支援が必要なお子様を持つ保護者様にとって、日々の「できない」への対応は、心身ともに大きなエネルギーを消耗するものです。

今回は、児童福祉の現場でも活用されているABA(応用行動分析)の視点から、お子様の「困った行動」を減らし、「できる」を増やすための具体的なステップをご紹介します。

1. 「できない」の裏側を紐解く「課題の分析」

例えば、「着替えができない」という一つの困りごと。一見シンプルに見えますが、実は多くのアクションが重なっています。

お子様が立ち止まっているのは、どのポイントでしょうか?

  • 服を脱ぐ方法がわからないのか?
  • 表裏の区別がつかないのか?
  • 袖に手を通す感覚が苦手なのか?

このように、課題を細かくバラバラに分解して考えることを「課題分析」といいます。 「着替えなさい!」と大きな課題をそのまま投げかけるのではなく、どこでつまずいているのかを特定することで、私たちが提供すべき「ちょうどいい助け舟」が見えてくるのです。

2. 自信を育む2つのサポート:前から・後ろから

つまずきポイントがわかったら、次は具体的な支援です。ABAには大きく分けて2つのサポート方法があります。

① 前からサポート(フォワード・チェイニング)

これは、「最初のステップだけを手伝って、残りは自分でやってごらん」と促す方法です。 例えば、靴を履くときに「かかとを入れるところまで」を大人が手伝い、最後のマジックテープを留めるのを本人に任せる。 「最後を自分でやり遂げた!」という達成感を味わいやすいのが特徴です。

② 後ろをサポート(バックワード・チェイニング)

逆に、「途中までは自分で頑張って、最後の難しいところだけを手伝う」方法もあります。 お子様の今のレベルに合わせて、「どこまでなら一人で楽しく取り組めるか」を見極めてあげてください。

大切なのは、「手伝いすぎて依存させないこと」、そして「難しすぎて嫌いにさせないこと」。 この絶妙なバランスを保つために、大人のサポートを徐々に減らしていく「フェードアウト」という考え方がとても重要になります。

3. 成長を見逃さないための「記録」の魔法

「昨日よりはできていた気がするけれど、確信が持てない……」 そんなとき、心の支えになるのが「記録」です。

  • どんなサポートをしたか:(例:言葉で教えた、手を持って教えた)
  • お子様の反応はどうだったか:(例:笑顔だった、怒った、5秒でできた)

記録をつけることは、単なる事務作業ではありません。 数週間後に振り返ったとき、「あんなに苦労していたことが、今は当たり前にできている」というお子様の成長と、保護者様ご自身の頑張りを可視化する宝物になります。

一人で抱え込んでいませんか?

お子様の支援は、長く続くマラソンのようなものです。時には道に迷い、座り込みたくなる日もあるでしょう。 私たち「株式会社PORT」は、そんなあなたの隣を歩く伴走者でありたいと考えています。

ABAの考え方は、お子様をコントロールするための道具ではありません。 お子様が世界をもっと生きやすく、そして保護者様がもっと笑顔で毎日を過ごせるようにするための「コミュニケーションのヒント」です。

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