2026/05/31 12:00
【療育コラム】お子さんの困った行動を減らす「消去」という向き合い方
「もう、どうしたらいいの?」とお悩みの方へ。
お子さんの困った行動を減らす「消去」という向き合い方
「スーパーでお菓子をねだられて、泣き叫ばれるのが辛い…」
「一度ダメと言ったのに、結局根負けして買い与えてしまう…」
「言うことを聞こうと頑張るほど、お子さんの反抗が激しくなった気がしませんか?」
日々の育児、本当にお疲れ様です。お子さんの成長を願っているからこそ、どう対応すべきか迷い、孤独を感じてしまう瞬間もありますよね。
今回は、応用行動分析(ABA)の視点から、お子さんの「困った行動(駄々をこねる、かんしゃくなど)」を減らすための大切な鍵となる「消去(しょうきょ)」という考え方についてお話しします。
1. 「消去」とは?反応を変えることで行動を減らすプロセス
「消去」と聞くと、何かを無理やり消し去るような冷たい印象を受けるかもしれませんが、児童福祉の分野では「これまでの反応を変えることで、不適切な行動の頻度を減らしていく」という非常に前向きな支援手法を指します。
例えば、お子さんが「おもちゃ買って!」と駄々をこねたとき、これまでは「静かにさせるために」買い与えていたとします。すると、お子さんの中では「泣けば買ってもらえる」という学習が成立してしまいます。
「駄々をこねる」という行動に対して、「買い与える(ご褒美)」という反応を止めること。これが消去の第一歩です。
2. 知っておきたい「消去バースト」:嵐の前の激しさ
消去を始めると、多くの場合「消去バースト」と呼ばれる現象が起こります。これは、ある行動を消そうとしたときに、一時的にその行動が以前よりもひどくなったり、激しくなったりすることです。
なぜ激しくなるの?
お子さんの立場に立ってみると、「いつもはこれで上手くいっていたのに、おかしいな?もっと激しく泣けば反応してくれるかな?」と試行錯誤している状態なのです。グラフにすると、一度グンと山が高くなり、そこから緩やかに下がっていきます。
「対応を変えた途端、前よりかんしゃくがひどくなった…私のやり方が間違っているのかも?」
そう不安になるかもしれませんが、実は「バーストが起きた」ということは、消去が正しく働いている証拠でもあります。この激しさは、行動が減っていく前の「サイン」なのです。
3. ここが踏ん張りどころ!「大人の勝負時」を乗り越える
消去バーストが起きたときこそ、私たち大人の「勝負時」です。ここで激しさに負けて「分かったわよ、もう!」と買い与えてしまうと、お子さんは「もっと激しくすれば思い通りになるんだ!」と、さらに強く学習してしまいます。
- 一貫性を保つ: 今日はダメ、明日はOKという揺らぎをなくします。
- 冷静に見守る: 激しくなっている最中は、過度な注目を与えず、安全を確保しながら見守ります。
- 適切な行動を褒める: 泣き止んだ瞬間や、静かに待てた瞬間を逃さず、たくさん褒めてあげましょう。
「この時期さえ過ぎれば、駄々をこねる行動は必ず減っていく」。そう信じて、一歩ずつ進んでいきましょう。もちろん、一人で抱え込む必要はありません。
4. 児童福祉のプロとして、私たちが伴走します
理論では分かっていても、実際の場面で冷静に対応するのはとても難しいことです。私たち支援の専門家は、その「勝負時」を一緒に乗り越えるパートナーでありたいと考えています。
「うちの子の場合、どう対応するのがベスト?」
「消去バーストに耐えられる自信がない…」
そんな不安、ぜひ私たちに聞かせてください。お子さんの特性やご家庭の状況に合わせた具体的なアドバイスをさせていただきます。
2026/05/24 12:00
【療育コラム】親子が笑顔で過ごすための「予防」の3つのステップ
「どうしていつも同じことで怒ってしまうんだろう…」
「パニックになる前に、何かできることはなかったのかな?」
日々、お子様と全力で向き合っているからこそ、そんな風に自分を責めたり、行き場のない不安を感じたりすることはありませんか?
子育てや発達支援の現場では、「起こってしまった行動にどう対処するか」と同じくらい、あるいはそれ以上に「いかに未然に防ぐ環境を作るか」が大切です。今回は、応用行動分析(ABA)の視点から、親子が笑顔で過ごすための「予防」の3つのステップについてお伝えします。
「爆発する前のサイン」に気づけず、後悔してしまうことはありませんか?
1. 問題を予防する:ドミノを止める最初の一手
問題行動を「ドミノ倒し」に例えてみましょう。一度倒れ始めたドミノを途中で止めるのは、とても力が要ります。しかし、最初の一枚が倒れないように指で支える、あるいはドミノの距離を離しておくことができれば、大きな混乱は防げます。
これが「予防」の考え方です。児童福祉の専門的な視点でも、お子様の「困った行動」を責めるのではなく、その手前にある環境を調整することを最優先に考えます。
2. 予防を実現する「3つの方策」
具体的にお家で取り組める予防策は、大きく分けて3つのステップがあります。
① 「きっかけ」をなくす
問題行動には必ず「引き金(きっかけ)」があります。例えば、おもちゃが散らばっていて集中できない、特定の音が苦手でパニックになる、などです。
「その行動が起こる直前に、何が起きているか?」を観察し、物理的にそのきっかけを取り除いてあげることが、最良の予防策となります。付箋でタスクを整理するように、お子様の周りの環境をシンプルに整えてみましょう。
② 状況を軽減させる
きっかけを完全になくすのが難しい場合もありますよね。外出先での騒音や、どうしても避けられない予定などです。その場合は、「影響を最小限にする」工夫をします。
- イヤーマフを使って音の刺激を減らす
- 待ち時間を短くするために予約システムを利用する
- 視覚的なスケジュール表を見せて、見通しを立てやすくする
「これくらいなら大丈夫かな?」という小さな配慮の積み重ねが、お子様の安心感に繋がります。
③ 適切行動を起こす(布石を打つ)
「ダメ!」と禁止する代わりに、「こうすればいいんだよ」という適切な行動を先に準備しておきます。ここでのポイントは「予告」と「承認」です。
「あと5分でおしまいだよ」という事前の予告と、少しでも適切に動けた時の「よくできたね!」という承認。このセットが、お子様が自ら良い行動を選ぶための「布石」となります。
「頑張っている瞬間」を見逃していませんか?
3. ひとりで抱え込まないでください
「予防が大事なのはわかっているけれど、具体的にうちの子にどうすればいいのか分からない…」
そう感じるのは、あなたが決してお子様を放り出さず、真剣に向き合っている証拠です。子育ては、決して親御さんだけで完結させるものではありません。
私たち福祉のプロフェッショナルは、そんな「どうすれば?」を一緒に考え、伴走するパートナーでありたいと願っています。ABA(応用行動分析)の知見は、魔法ではありませんが、日常を少しずつ楽にする確かなツールになります。
お子様の成長や行動に関するお悩み、まずは気軽にお聞かせください。
専門のアドバイザーが、あなたのご家庭に合った「予防策」を一緒に考えます。
2026/05/17 12:00
【療育コラム】「どうしてうちの子、あんなことしちゃうの?」
【ABA】「困った行動」を「理解」に変えるための、3つの情報収集
日々、お子様と向き合う中で、そんな風に感じることはありませんか?
一生懸命に子育てをしているからこそ、理由のわからない「問題行動」に直面すると、出口のないトンネルにいるような孤独を感じてしまうこともあるかもしれません。
でも、安心してください。お子様の行動には必ず「理由」があります。今回は、応用行動分析(ABA)の視点から、その理由を解き明かすための「情報の集め方」をプロの視点で解説します。
1. なぜ「記録」が必要なの?客観的に見るための第一歩
児童福祉の現場でも、最も大切にしているのが「記録」です。保護者の方にお願いしたいのは、感情のフィルターを一度横に置いて、お子様の行動を「カメラで撮るように」観察することです。
「また始まった…」と溜息をつく前に、これからご紹介する3つのポイントを意識してみるだけで、見えてくる景色がガラリと変わりますよ。
2. 集めるべき「3つの鍵」となる情報
お子様の発達や行動の相談を受ける際、私たち専門家が注目するのは以下の3点です。
① 行動の「頻度」:1日に何回起こる?
「ずっと泣いている」「一日中暴れている」と感じていても、実際にカウントしてみると「1日に3回、食事の前に起こっている」といった法則性が見つかることがあります。
- 正の字を書いてカウントするだけでOKです。
- 回数が減っていく過程が見えると、保護者様の自信にも繋がります。
② 行動の「持続時間」:1回にどれくらい続く?
パニックが起きたとき、1分が1時間のように長く感じられるものです。しかし、ストップウォッチ等で測ってみると「実は5分で落ち着いていた」と気づくことがあります。
持続時間が短くなっているなら、それはお子様が自分の感情をコントロールしようと頑張っている「成長の証」かもしれません。
③ 周りへの影響:何が起きている?
その行動によって、周囲で何が変化したでしょうか?「お母さんがこっちを向いた」「おもちゃを貸してもらえた」「嫌な宿題が中断された」など、行動の直後に起きた変化に「行動の目的」が隠されています。
3. ひとりで抱え込まないで。伴走者がここにいます
「記録をつけなきゃ」と思うことが、お母様・お父様の負担になってしまっては本末転倒です。完璧を目指す必要はありません。「だいたいこれくらいかな?」というメモ程度から始めてみませんか?
児童福祉の専門家は、その記録をもとに、お子様が本当に伝えたかった「言葉にならないメッセージ」を一緒に読み解いていきます。あなたは決してひとりではありません。
「最近、なんだか上手くいかないな…」
「どこに相談すればいいのかわからない」
そんな風に感じたときは、いつでも私たちを頼ってください。お子様一人ひとりの個性に合わせたオーダーメイドの支援を、一緒に考えていきましょう。
2026/05/10 12:00
【療育コラム】お子様の行動を理解するための「情報の集め方」
「なぜ、急にパニックになってしまうんだろう?」「さっきまで笑っていたのに、どうして?」
理由がわからず、途方に暮れてしまう夜もありますよね。
こんにちは。私たちは、お子様の発達とご家族の笑顔を支える専門チームです。 お子様の「困った行動」には、実は必ず「理由」と「きっかけ」が隠されています。 今回は、応用行動分析(ABA)の視点から、お子様の行動を理解するための「情報の集め方」についてお話しします。
1. 行動の「前」にあるヒントを見つけよう
応用行動分析(ABA)では、行動そのものを見るだけでなく、その行動が起こる直前の状況=「先行条件」をとても大切にします。 パニックやぐずりが起きたとき、その「直前」に何があったのか。それを紐解くことが、解決への第一歩となります。
集めるべき「5つの先行情報」:
- 時間帯: 朝の準備中? 寝る前? 特定の授業の時間?
- 発生場所: リビング? 学校の教室? スーパーのレジ横?
- 一緒にいる人: お父さん? お母さん? 特定の先生や友達?
- 睡眠状態: 昨夜はよく眠れていた? 疲れが溜まっていない?
- 周りの言葉かけ: 誰かが何かを指示した? 否定的な言葉があった?
2. 環境が行動を引き起こしているかもしれません
「いつ・どこで」のパターンを知る
お子様の行動を記録してみると、「実は月曜日の10時頃に多い」とか「玄関で靴を履く時に必ず起きる」といったパターンが見えてくることがあります。 それはお子様のわがままではなく、その「時間」や「場所」に、お子様にとってのストレス要因(まぶしさ、音、手順の複雑さなど)が隠れているサインなのです。
「誰といるか」と「睡眠」の重要性
特定の人の前でだけ行動が出る場合、それはその人に対して「甘えたい」というサインかもしれませんし、逆に「緊張」を感じているのかもしれません。 また、睡眠状態は、お子様の感情をコントロールする力に直結します。 「今日は寝不足だから、少し刺激を減らしてあげよう」と、大人が先回りして調整してあげることが、お子様の穏やかな一日を守ることにつながります。
3. 私たちの「言葉かけ」を振り返る
余裕がない時、ついそんな言葉を投げかけてしまっていませんか?
特定の言葉かけが、お子様の行動のトリガー(引き金)になっていることもあります。 「特定の言葉」に反応していることが分かれば、伝え方を工夫するだけで、お子様の反応が劇的に変わることがあります。 「先行条件」を整えることは、お子様を叱る回数を減らし、お母さん・お父さんの心の平穏を守ることでもあるのです。
💡 大切なのは「分析」することではなく、「理解しようとする」こと
完璧に記録を取る必要はありません。「あ、今日はこれが嫌だったのかな?」と、ほんの少し意識を向けるだけで十分です。 お子様は、言葉でうまく伝えられない気持ちを「行動」で教えてくれている。私たちはそう考えています。
4. 一人で抱え込まず、一緒に考えませんか?
「記録をつけてみたけれど、どう対応すればいいかわからない」「うちの子の場合はどうなんだろう?」 そんな不安を感じたら、ぜひ私たちを頼ってください。 児童福祉のプロフェッショナルとして、あなたとお子様に寄り添い、共に歩んでいきます。
今の苦しみが、少しずつ「安心」に変わっていく。そのお手伝いをさせてください。
お問い合わせ・ご相談はこちら2026/05/03 12:00
【療育コラム】応用行動分析(ABA)で紐解く「強化」の仕組み
子どもの「困った」を「できた」に変える魔法
応用行動分析(ABA)で紐解く「強化」の仕組み
日々、お子様と向き合う中で、こんな風に感じることはありませんか?
「何度言っても同じいたずらを繰り返してしまう…」
「どうしてあんなに激しく泣いて訴えるんだろう?」
「もっと良い行動を増やしてあげたいのに、どう接すればいいのか分からない…」
毎日一生懸命に子育てや支援に向き合っているからこそ、出口の見えないトンネルの中にいるような孤独感を感じることもあるかもしれません。でも、安心してください。お子様の行動には、必ず「理由」と「法則」があります。
今回は、児童福祉の現場でも非常に大切にされている心理学の枠組み「応用行動分析(ABA)」の視点から、お子様の望ましい行動をぐんぐん伸ばすためのカギとなる「強化」について分かりやすく解説します。
1. 「強化」ってなに?行動が繰り返されるヒミツ
心理学の世界でいう「強化」とは、一言で言うと「ある行動の後に良いことが起こることで、その行動が将来もっと起こりやすくなること」を指します。そして、そのきっかけとなる「良いこと(ご褒美など)」を「強化子」と呼びます。
お子様が何かをした後、その結果が本人にとって「嬉しい!」と感じるものであれば、その行動はどんどん増えていきます。この仕組みを理解することが、発達支援の第一歩です。
「強化」には2つの種類があります
- 正の強化:行動のあとに「良いこと」が追加される(例:褒められる、お菓子をもらえる)
- 負の強化:行動のあとに「嫌なこと」がなくなる(例:苦手な宿題を免除される、叱責が止む)
2. 嬉しい!が増える「正の強化」の魔法
例えば、お子様がお絵描きをして、それをお父さんやお母さんに見せに来たとします。その時に「わあ、上手に描けたね!」と笑顔で拍手されたら、お子様はどう感じるでしょうか?
「褒められた!嬉しい!」と感じたお子様は、きっとまた次もお絵描きをして見せに来てくれるでしょう。これが「正の強化」です。特別なプレゼントでなくても、大好きなお父さん・お母さんの笑顔、ハイタッチ、抱きしめることそのものが、お子様にとって最大の「強化子」になります。
最近、お子様の「当たり前」にできている行動を褒めてあげたのはいつですか?
「靴を揃えた」「座ってご飯を食べた」…そんな小さな「できた」を見逃さずにキャッチすることが、お子様の自信を育みます。
3. 意外な盲点?「負の強化」を知ろう
もう一つの「負の強化」は、少し注意が必要です。これは「嫌なことがなくなることで、その行動が増える」仕組みです。
例えば、お片付けが嫌で大泣きしているお子様に対して、大人が根負けして「分かったわ、今日はお片付けしなくていいよ」と言ってしまったらどうなるでしょうか?お子様にとっては「大泣きしたことで、嫌な片付け(負の刺激)が消えた!」という成功体験になってしまいます。
すると、次からも「嫌なことがあったら大泣きすればいいんだ」と学習し、大泣きという行動が「強化」されてしまうのです。問題行動を減らしたいときは、この「負の強化」が働いていないかを客観的に見つめ直すことが大切です。
4. 解決へのヒントは「行動の後」を観察すること
お子様の行動を変えたいと思った時、ついつい「行動の理由」を深掘りしてしまいがちですが、ABAでは「行動の直後に何が起きているか」に注目します。
行動の後を観察するポイント
- その行動の後、お子様は笑っていますか?それとも注目を得て満足していますか?
- その行動の後、お子様にとって嫌なことが回避されていませんか?
- 大人はどんな反応を返していますか?(叱っているつもりが、実は構ってもらえて「正の強化」になっていませんか?)
「行動の後の対応」を変えるだけで、お子様の反応が劇的に変わることは珍しくありません。一人で悩まず、まずは「観察」から始めてみましょう。
お子様が困った行動をした時、あなたはどんな「後」を返していますか?
もし、今の対応に限界を感じているなら、私たちと一緒に「新しい対応」を試してみませんか?
まとめ:一人で抱え込まないでください
子育てや療育は、正解が一つではありません。応用行動分析(ABA)という強力なツールがあっても、それを毎日の生活で実践し続けるのは大変なことです。時にはイライラしてしまったり、自分を責めてしまったりすることもあるでしょう。
でも、あなたは十分頑張っています。私たち株式会社PORTは、長野県の地域に根ざし、お子様一人ひとりの個性に合わせた「強化」の形を一緒に考えるパートナーでありたいと願っています。
「うちの子の場合はどうすればいい?」「この行動をどう捉えたらいいの?」そんな些細な疑問でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。お子様の未来が、もっと笑顔で溢れるものになるよう、私たちが伴走いたします。
株式会社PORT 長野県塩尻市・松本市・長野市

