2026/03/29 12:00
学校の視力検査だけではわからない「近見視力」の重要性【療育コラム】
日々、お子様と向き合う中で、こんな風に感じることはありませんか?
「黒板の書き写しが遅くて、いつも宿題が大変そう…」
「何度注意しても姿勢が悪くなってしまうのは、やる気の問題?」
一生懸命に子育てや学習支援をされている保護者の皆様、そして支援現場の皆様。お子様の「困りごと」の背景には、もしかしたら「視力」の意外な落とし穴が隠れているかもしれません。
1. 学校の視力検査だけではわからない「近見視力」の重要性
通常、学校の健康診断で行われる視力検査は、数メートル先の指標を見る「遠見視力(えんけんしりょく)」を測るものです。しかし、子どもたちの日常生活、特に学習の場面で最も使われるのは、手元30cm付近を見る力です。
「遠くが見えているから、目は大丈夫」と安心していませんか?実は、遠くの景色や黒板はハッキリ見えていても、ノートや教科書の文字を見る時だけピントが合いにくい、あるいはひどく疲れてしまうというお子さんは少なくありません。
2. 「叱る前に検査を」——行動の裏にある身体的理由
学習中に落ち着きがなかったり、字が乱暴になってしまったりすると、つい「もっと丁寧に書きなさい!」「集中しなさい!」と叱ってしまいがちですよね。しかし、もしお子様の「近見視力」が低かったとしたら、それは本人にとって「霧の中で必死に文字を追いかけている」ような状態かもしれません。
こんなサインはありませんか?
- 本を読むときに顔を近づけすぎる、または極端に離す
- 書き取りの際、行を飛ばしたり同じ文字を何度も書いたりする
- 集中力が続かず、すぐに目をこすったり頭痛を訴えたりする
- 黒板を写すのが遅く、内容が抜けてしまう
これらは「怠けている」のではなく、「目がうまく機能していないためのSOS」である可能性があります。私たちは教育・福祉のプロとして、まずはお子様の身体的な特性を確認することの大切さを提唱しています。
3. 今日からできる「眼のチカラ」を育てるトレーニング
近見視力の問題は、単なる視力低下(近視)だけでなく、眼球をスムーズに動かす力や、両目をチームワークよく使う力の不足から来ていることもあります。これらは「ビジョントレーニング」のような簡易的な運動で改善が期待できるケースもあります。
例えば、眼球を「∞(無限大)」の形に動かすトレーニングなどは、遊び感覚で短時間で取り組むことができます。こうした小さな積み重ねが、お子様の「できた!」という自信に繋がっていくのです。
4. 孤独な子育てにしないために。PORTが伴走します
お子様の発達や学習について、一人で悩み、自分を責めてしまう保護者の方はとても多いです。しかし、子育ては決して一人で行うものではありません。児童福祉の専門家や地域のリソースを頼ることは、お子様の可能性を広げるための前向きな一歩です。
「うちの子の場合はどうなんだろう?」「どこに相談すればいいかわからない」
そんな不安を、私たちに聞かせていただけませんか?
2026/03/22 12:00
「やめさせた方がいいの?それとも見守るべき?」【療育コラム】
「やめさせた方がいいの?それとも見守るべき?」
日々、お子様と向き合う中で、そんな風にふと不安を感じる瞬間はありませんか?
その行動には、実はお子様なりの「大切な理由」が隠されています。
発達がゆっくりなお子様や、自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つお子様に見られる「不思議な繰り返しの行動」。
これらは専門用語で「常同行動(じょうどうこうどう)」と呼ばれます。周りから見ると意味がないように見えても、お子様にとっては自分を保つための欠かせないリズムなのです。
1. 常同行動とは?お子様が見せる「飽きないリズム」
常同行動とは、端から見ると目的がないように見える動作を、長時間にわたって繰り返すことを指します。 例えば、以下のような様子を何度も見かけることはありませんか?
代表的な行動の例
- 上半身を揺らす: 座ったまま、あるいは立ったまま体を前後にゆらゆらと揺らし続けます。
- 手をひらひらさせる: 目の前で手をヒラヒラさせたり、指を複雑に動かしたりして見つめます。
- ドアの開け閉め: カチカチという音や、開閉する感覚を求めて、何度もドアや引き出しを動かします。
こうした行動をずっと続けている姿を見ると、「どこか具合が悪いのかな?」「いつまで続くんだろう」と、保護者の方が孤独な不安を抱えてしまうのは、決してあなただけではありません。
2. なぜ繰り返すの?その裏側にある「心の防衛反応」
なぜ、彼らは飽きずに同じ行動を繰り返すのでしょうか?
近年の児童福祉や発達支援の知見では、これらは主に「不安の軽減」や「感覚の調整」のためであると考えられています。
ASDのお子様は、周囲の音や光、あるいは「次に何が起こるか分からない」という状況に対して、私たちが想像する以上に強い不安を感じることがあります。 そんな時、自分の意志でコントロールできる「いつもと同じ動き」を繰り返すことで、パニックを防ぎ、安心感を得ようとしているのです。
そんな経験はありませんか?
3. 専門家がアドバイスする、家庭での寄り添い方
「このまま放っておいていいの?」と心配になるかもしれませんが、基本的には「無理に止めず、軽く流してあげる」ことが大切です。
見守る際の大切なポイント
- 安心できる環境づくり: 行動が激しくなった時は、周囲の刺激(テレビの音や照明)を落とし、お子様がリラックスできる環境を整えてあげましょう。
- 「ダメ」と言わない: 行動そのものを否定すると、お子様は安心できる手段を失い、かえってストレスが増してしまいます。
- 危険な時だけ代わりの提案を: ドアの開け閉めで指を挟む危険がある場合などは、同じような感触を楽しめるおもちゃ(フィジェットトイ等)に誘導してあげましょう。
4. 一人で抱え込まないで。私たちが「伴走」します
「常同行動」を理解することは、お子様の「心の SOS」や「安心したい気持ち」に気づく第一歩です。
しかし、毎日つきっきりで向き合う保護者の方の疲れは、並大抵のものではありません。
私たち児童福祉の相談員は、お子様だけでなく、「お父様・お母様の心」のサポーターでもありたいと考えています。 「こんな時はどうすればいいの?」「うちの子だけ?」そんな些細な疑問でも構いません。
2026/03/15 12:00
「何度教えても漢字が覚えられない…」【療育コラム】
「宿題を見ていると、ついイライラして声が荒くなってしまう…」
日々、お子様と向き合う中で、そんな風に感じることはありませんか?
小学校に入学し、避けては通れないのが「漢字」の学習です。しかし、発達の段階や特性によって、漢字を書くこと、覚えることに人一倍のエネルギーを必要とするお子様がいます。周りの子ができることが自分の子には難しい。その焦りから、親子で疲れ切ってしまうケースは少なくありません。
今回は、児童福祉の視点から、「無理をさせない」漢字学習のコツと、お子様の心を守るための関わり方についてご紹介します。
1. 漢字が「苦手」と感じる背景とは?
お子様が漢字を嫌がるのは、決して「やる気」がないからではありません。
- 視覚的な認識の難しさ: 複雑な線の組み合わせが記号のように見えてしまう。
- 手先の不器用さ(微細運動): 思い通りに鉛筆を動かすことに負担がある。
- 短期記憶の特性: 形を一時的に保持しておくことが苦手。
こうした背景がある場合、ただ「回数を書いて覚えなさい」という指導は、お子様にとって大きな苦痛となり、学習への自信を喪失させる原因にもなりかねません。
2. 楽しく、無理なく!今日から試せる5つのアプローチ
教育・福祉の現場でも推奨されている、お子様の負担を減らしつつ「書けた!」を増やすステップをご紹介します。
① 「指書き」で形をキャッチ
いきなり鉛筆で書く前に、人差し指でお空や机の上に大きく漢字を書いてみましょう。「いち、に、さん」と書き順を口に出しながら書くことで、リズムと一緒に形を脳に定着させやすくなります。鉛筆を持たない解放感が、心理的なハードルを下げてくれます。
② 「なぞり書き」で成功体験を
真っ白なマス目に書くのは、どこから書き始めていいか分からず不安なものです。まずはお手本をしっかりなぞることから始めましょう。この時、「はみ出さないように丁寧に書けたね」と、結果だけでなく「丁寧さ」を具体的に褒めることが、お子様の「もっとやってみよう」という意欲に繋がります。
③ 「言葉集め」でイメージを広げる
漢字を単なる「記号」としてではなく、「生きた言葉」として捉える工夫です。その漢字を使った言葉を一緒に探したり、短い文を作ってみたりしましょう。物語性を持たせることで、記憶のフックが掛かりやすくなります。
④ 「とめ・はね」は、あえてスルーしてみる
真面目な保護者様ほど、「跳ねていないからダメ」「止まっていないからやり直し」と厳しく指導してしまいがちです。しかし、細部へのこだわりすぎは、お子様を漢字嫌いにさせる一番の要因です。「ある程度形が合っていればOK」という心の余裕を持って、小さなミスはスルーすることも、長期的な支援では非常に大切です。
⑤ 「量の調整」で達成感をデザイン
一度にたくさんの漢字を覚えるのは、大人でも大変なことです。1日に10個やるよりも、1個を確実にマスターするほうが自信に繋がります。お子様の集中力に合わせて、「今日はこの2つだけ完璧にしよう」と量を調整し、計画的に進める伴走を心がけてみてください。
3. ひとりで悩まず、地域の支援を頼ってください
子育て、特に学習支援における悩みは、家庭内だけで抱え込むと、親御様自身が追い詰められてしまいます。
児童福祉の専門家や相談員は、お子様一人ひとりの特性に合わせた学び方を見つけるパートナーです。特性を知ることは、お子様の「生きづらさ」を「得意」に変える第一歩。少しでも不安を感じたら、お気軽にご相談ください。
2026/03/08 12:00
「お箸がうまく使えない」「ボタン留めに時間がかかる」……。【療育コラム】
日々、お子様と向き合う中で、周りの子と比べて「うちの子、少し手先が不器用かな?」と不安を感じることはありませんか?
一生懸命練習しているのに、なかなか上手くいかない。そんなお子様の姿を見て、もどかしさを感じたり、つい「もっとしっかり持って!」と声を荒らげてしまったり……。 子育てに正解がないからこそ、保護者の皆様の悩みは尽きないものです。
本日は、教育・福祉の現場で多くの子どもたちをサポートしてきた株式会社PORTが、「手先が不器用な子への適切なアプローチ」について解説します。 大切なのは、決して無理をさせず、スモールステップで「できた!」の自信を育むことです。
1. 意外な近道?「全身の運動」が手先の器用さを育てる
「手先を器用にするには、手元の訓練をしなければ」と考えがちですが、実は発達には順番があります。 「粗大運動(全身を動かす力)」が安定して初めて、「微細運動(手先の細かい力)」が発達してくるのです。
土台となる体幹や肩周りの力が弱いと、指先にまで意識や力を集中させることが難しくなります。
公園遊びは最高のトレーニング
手先のトレーニングとして特におすすめなのが、意外にも公園の遊具です。
- てつぼう: ギュッと握ることで、手のひらの感覚を養い、握力を育てます。
- ブランコ: 揺れる中でバランスを取ることで、体幹と「踏ん張る力」を養います。
遠回りに思えるかもしれませんが、全身を使って楽しく遊ぶことが、結果として鉛筆やお箸を上手に扱うための「土台」を作ってくれます。
2. スモールステップで「できた!」を積み重ねる
はさみやお箸の練習をするとき、いきなり「完成形」を求めていませんか? 習得が難しい場合は、動作を一つずつ「分解」して教えてあげましょう。
1. まずは「開いて・閉じる」動きだけを練習する
2. 1回だけチョキンと切れる細い紙を切る
3. 長い直線を切る
4. 曲線を切る
このように、ステップを細かく分けることで、お子様は「自分にもできるんだ!」という達成感を得やすくなります。 「できない経験」を繰り返すよりも、「できる経験」を一つずつ増やすことが、お子様の意欲を支える鍵となります。
3. 無理をさせない「補助具」という選択肢
どれだけ頑張っても、今はどうしても苦手……という場合もあります。 そんな時は、便利な補助具(福祉用具)を積極的に活用しましょう。
お箸であればトレーニング箸、鉛筆であれば持ち手を補助するグリップ、定規であれば滑り止め付きのもの。 「道具に頼るのは甘えではないか?」と心配される保護者の方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
道具を使うことで「自分でできた!」という喜びを感じられることの方が、お子様の心の成長にとっては何倍も価値があるのです。 成長に合わせて、少しずつ道具を外していけば大丈夫。まずは自信を持つことから始めましょう。
4. ひとりで悩まず、プロに相談を
子育ては、毎日が試行錯誤の連続です。特に発達に関することは、周りに相談できず孤独を感じてしまうことも多いかもしれません。
そんな風に感じたときは、お気軽に児童福祉の専門家を頼ってください。
私たち株式会社PORTは、お子様一人ひとりの個性に寄り添い、保護者の皆様と共に歩むパートナーでありたいと考えています。 お子様の「得意」を伸ばし、「苦手」を補う方法を一緒に考えていきましょう。


