2026/04/12 12:00
【療育コラム】お子さまの「困った行動」を「理解」に変えるステップ
【応用行動分析】お子さまの「困った行動」を「理解」に変えるステップ
「片付けをしてくれないのは、私の教え方のせい?」
日々、お子さまと向き合う中で、そんな風に自分を責めたり、行き詰まりを感じたりすることはありませんか?
子育ての悩みは、ひとりで抱えるととても重いものです。
「問題行動」と呼ばれる、お子さまの少し困った振る舞い。実はそれには、必ず「理由」があります。
今回は、児童福祉の現場でも広く活用されているABA(応用行動分析)という考え方をご紹介します。これは、感情的に叱るのではなく、行動を科学的に分析することで、お子さまも保護者様も笑顔になれる魔法のツールです。
1. ABA(応用行動分析)って何?
ABAとは、簡単に言うと「ひとつの行動を、3つの段階に分けて分析し、お子さまの行動をより良い方向へ変容させていく手法」です。
私たちはつい、「片付けができない」という「行動そのもの」だけに注目してしまいがちです。しかし、その前後にある状況をセットで見ることで、解決のヒントが見えてきます。
2. 行動を「3つの段階」で捉えてみましょう
ABAでは、行動を「A・B・C」という3つのフレームで捉えます。
なぜ「3段階」で分ける必要があるの?
例えば、「お片付けができない(B)」という場面を考えてみましょう。
- A(先行条件):実は、片付け方が分かっていない状況だったとしたら?
- C(行動の結果):できなかったことで、お母さんに「怒られる」という結果が待っていたとしたら?
お子さまにとって、Aの状況でBができないのは当然かもしれません。そしてCの結果が「怒られる」だけでは、次にどうすればいいのか学ぶことができません。この「A→B→C」の流れを整理することが、支援の第一段階となります。
「そのあとのC(結果)、どんな声かけをしてるかな?」
一度、立ち止まって客観的に眺めてみると、新しい発見があるかもしれません。
3. 児童福祉のプロが伝える「変化」のコツ
行動を変えるためには、実は「B(行動)」を無理やり変えようとするよりも、「A(きっかけ)」と「C(結果)」を工夫するほうが近道です。
環境を整える(Aへのアプローチ)
「片付けなさい!」と指示を出す前に、おもちゃ箱に写真やイラストを貼って、「どこに何を戻すか」を視覚的に分かりやすくしてみましょう。
「いいこと」をセットにする(Cへのアプローチ)
少しでもできたら、あるいは「やろうとした」だけでも、思い切り褒めてあげてください。「できた!」という達成感や、大好きなお母さんの笑顔という「良い結果(C)」が伴うと、お子さまはその行動を繰り返したくなります。
4. ひとりで悩まず、一緒に歩みましょう
理論は分かっていても、忙しい毎日の中でいつも冷静に分析するのは、プロでも難しいことです。
「今日は怒りすぎてしまった」と落ち込む日があっても大丈夫。大切なのは、保護者様自身が孤独にならないことです。
私たち専門相談員は、そんな保護者様の「伴走者」でありたいと考えています。 お子さまの特性に合わせた具体的な「A・B・C」の整理を、一緒に考えてみませんか?
2026/04/05 12:00
【療育コラム】「つい、カッとなって子どもに強い言葉をぶつけてしまった…」
「つい、カッとなって子どもに強い言葉をぶつけてしまった…」
「あんなに怒るつもりはなかったのに、後から自己嫌悪でいっぱいになる」
子育てや児童福祉の現場は、毎日が予測不能な出来事の連続です。怒りを感じること自体は、あなたが一生懸命である証拠であり、決して悪いことではありません。大切なのは、その「怒りの波」とどう付き合っていくかです。
今回は、大人も子どもも今日から実践できる心理トレーニング「アンガーマネジメント」の5つの具体的な手法をご紹介します。
1. 感情のピークをやり過ごす「6秒ウェイト」
人間の怒りの感情は、脳科学的に「長くて6秒」がピークだと言われています。衝動的な怒りに任せて行動してしまう前に、まずは心の中で6秒数えてみましょう。
- 深呼吸をしながら1、2、3…と数える
- 「待て、待て」と自分に言い聞かせる
このわずかな時間を確保するだけで、理性を司る前頭葉が働き出し、最悪の事態(暴言や手出し)を防ぐ助けになります。「まずは6秒待つ」。これを知っておくだけでも、心の余裕が変わってきます。
2. 客観的に自分を見る「怒りの数値化」
今感じている怒りを、1〜10のレベルで表してみる方法です(スケーリング)。
「昨日の夜に比べたら、まだレベル5だから大丈夫」
このように数値で客観視(メタ認知)することで、脳は感情に支配される状態から「分析する状態」へとシフトします。お子さまと一緒に「今の怒り、レベルいくつ?」と遊び感覚で取り入れるのも、発達支援の現場では非常に効果的です。
3. 傾向を知って対策する「怒りのログ化」
自分が「いつ」「どこで」「どんな出来事に対して」怒りを感じたかを記録する「アンガーログ」。これを続けると、自分の怒りのパターン(地雷)が見えてきます。
- 「夕飯の準備中に話しかけられるとイライラしやすい」
- 「朝の準備が進まないときにレベルが上がる」
パターンが分かれば、「この時間は余裕がないから、先にこれを済ませておこう」といった具体的な予防策を立てられるようになります。内省は、自分を責めるためではなく、未来の自分を助けるためのツールです。
4. 思考の柔軟性を養う「例示学習」
「こんな時、どうする?」という具体的なケーススタディを事前に学んでおく方法です。怒りの渦中にいる時に考えるのは難しいですが、落ち着いている時に事例集を通して「別の捉え方」を学ぶことができます。
児童福祉の専門家も活用するこの手法は、「あの子がわざとやったわけじゃないかも」「他に理由があったのかも」といった、相手に対する多角的な視点を持つトレーニングになります。
5. 心を守る盾「バライメージ」
相手から心ない言葉を投げかけられたり、感情をぶつけられたりした際、自分と相手の境界に「透明なバリア」を張っているイメージを持ちます。
相手の怒りを受け取りすぎて、あなたが壊れてしまう必要はありません。「これは相手の課題であり、私のせいではない」とイメージのバリアで自分を守りましょう。この心理的境界線を引く練習は、支援職の方にとっても非常に重要なスキルです。
まずは「できそうなもの」から、一つだけ試してみませんか?
アンガーマネジメントは、怒りを抑え込むことではなく、怒りと上手に共存し、より良い人間関係を築くための技術です。もし一人で抱え込むのが辛くなった時は、いつでも私たちにご相談ください。あなたは決して一人ではありません。

