2026/03/22 12:00
「やめさせた方がいいの?それとも見守るべき?」【療育コラム】
「やめさせた方がいいの?それとも見守るべき?」
日々、お子様と向き合う中で、そんな風にふと不安を感じる瞬間はありませんか?
その行動には、実はお子様なりの「大切な理由」が隠されています。
発達がゆっくりなお子様や、自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つお子様に見られる「不思議な繰り返しの行動」。
これらは専門用語で「常同行動(じょうどうこうどう)」と呼ばれます。周りから見ると意味がないように見えても、お子様にとっては自分を保つための欠かせないリズムなのです。
1. 常同行動とは?お子様が見せる「飽きないリズム」
常同行動とは、端から見ると目的がないように見える動作を、長時間にわたって繰り返すことを指します。 例えば、以下のような様子を何度も見かけることはありませんか?
代表的な行動の例
- 上半身を揺らす: 座ったまま、あるいは立ったまま体を前後にゆらゆらと揺らし続けます。
- 手をひらひらさせる: 目の前で手をヒラヒラさせたり、指を複雑に動かしたりして見つめます。
- ドアの開け閉め: カチカチという音や、開閉する感覚を求めて、何度もドアや引き出しを動かします。
こうした行動をずっと続けている姿を見ると、「どこか具合が悪いのかな?」「いつまで続くんだろう」と、保護者の方が孤独な不安を抱えてしまうのは、決してあなただけではありません。
2. なぜ繰り返すの?その裏側にある「心の防衛反応」
なぜ、彼らは飽きずに同じ行動を繰り返すのでしょうか?
近年の児童福祉や発達支援の知見では、これらは主に「不安の軽減」や「感覚の調整」のためであると考えられています。
ASDのお子様は、周囲の音や光、あるいは「次に何が起こるか分からない」という状況に対して、私たちが想像する以上に強い不安を感じることがあります。 そんな時、自分の意志でコントロールできる「いつもと同じ動き」を繰り返すことで、パニックを防ぎ、安心感を得ようとしているのです。
そんな経験はありませんか?
3. 専門家がアドバイスする、家庭での寄り添い方
「このまま放っておいていいの?」と心配になるかもしれませんが、基本的には「無理に止めず、軽く流してあげる」ことが大切です。
見守る際の大切なポイント
- 安心できる環境づくり: 行動が激しくなった時は、周囲の刺激(テレビの音や照明)を落とし、お子様がリラックスできる環境を整えてあげましょう。
- 「ダメ」と言わない: 行動そのものを否定すると、お子様は安心できる手段を失い、かえってストレスが増してしまいます。
- 危険な時だけ代わりの提案を: ドアの開け閉めで指を挟む危険がある場合などは、同じような感触を楽しめるおもちゃ(フィジェットトイ等)に誘導してあげましょう。
4. 一人で抱え込まないで。私たちが「伴走」します
「常同行動」を理解することは、お子様の「心の SOS」や「安心したい気持ち」に気づく第一歩です。
しかし、毎日つきっきりで向き合う保護者の方の疲れは、並大抵のものではありません。
私たち児童福祉の相談員は、お子様だけでなく、「お父様・お母様の心」のサポーターでもありたいと考えています。 「こんな時はどうすればいいの?」「うちの子だけ?」そんな些細な疑問でも構いません。
2026/03/15 12:00
「何度教えても漢字が覚えられない…」【療育コラム】
「宿題を見ていると、ついイライラして声が荒くなってしまう…」
日々、お子様と向き合う中で、そんな風に感じることはありませんか?
小学校に入学し、避けては通れないのが「漢字」の学習です。しかし、発達の段階や特性によって、漢字を書くこと、覚えることに人一倍のエネルギーを必要とするお子様がいます。周りの子ができることが自分の子には難しい。その焦りから、親子で疲れ切ってしまうケースは少なくありません。
今回は、児童福祉の視点から、「無理をさせない」漢字学習のコツと、お子様の心を守るための関わり方についてご紹介します。
1. 漢字が「苦手」と感じる背景とは?
お子様が漢字を嫌がるのは、決して「やる気」がないからではありません。
- 視覚的な認識の難しさ: 複雑な線の組み合わせが記号のように見えてしまう。
- 手先の不器用さ(微細運動): 思い通りに鉛筆を動かすことに負担がある。
- 短期記憶の特性: 形を一時的に保持しておくことが苦手。
こうした背景がある場合、ただ「回数を書いて覚えなさい」という指導は、お子様にとって大きな苦痛となり、学習への自信を喪失させる原因にもなりかねません。
2. 楽しく、無理なく!今日から試せる5つのアプローチ
教育・福祉の現場でも推奨されている、お子様の負担を減らしつつ「書けた!」を増やすステップをご紹介します。
① 「指書き」で形をキャッチ
いきなり鉛筆で書く前に、人差し指でお空や机の上に大きく漢字を書いてみましょう。「いち、に、さん」と書き順を口に出しながら書くことで、リズムと一緒に形を脳に定着させやすくなります。鉛筆を持たない解放感が、心理的なハードルを下げてくれます。
② 「なぞり書き」で成功体験を
真っ白なマス目に書くのは、どこから書き始めていいか分からず不安なものです。まずはお手本をしっかりなぞることから始めましょう。この時、「はみ出さないように丁寧に書けたね」と、結果だけでなく「丁寧さ」を具体的に褒めることが、お子様の「もっとやってみよう」という意欲に繋がります。
③ 「言葉集め」でイメージを広げる
漢字を単なる「記号」としてではなく、「生きた言葉」として捉える工夫です。その漢字を使った言葉を一緒に探したり、短い文を作ってみたりしましょう。物語性を持たせることで、記憶のフックが掛かりやすくなります。
④ 「とめ・はね」は、あえてスルーしてみる
真面目な保護者様ほど、「跳ねていないからダメ」「止まっていないからやり直し」と厳しく指導してしまいがちです。しかし、細部へのこだわりすぎは、お子様を漢字嫌いにさせる一番の要因です。「ある程度形が合っていればOK」という心の余裕を持って、小さなミスはスルーすることも、長期的な支援では非常に大切です。
⑤ 「量の調整」で達成感をデザイン
一度にたくさんの漢字を覚えるのは、大人でも大変なことです。1日に10個やるよりも、1個を確実にマスターするほうが自信に繋がります。お子様の集中力に合わせて、「今日はこの2つだけ完璧にしよう」と量を調整し、計画的に進める伴走を心がけてみてください。
3. ひとりで悩まず、地域の支援を頼ってください
子育て、特に学習支援における悩みは、家庭内だけで抱え込むと、親御様自身が追い詰められてしまいます。
児童福祉の専門家や相談員は、お子様一人ひとりの特性に合わせた学び方を見つけるパートナーです。特性を知ることは、お子様の「生きづらさ」を「得意」に変える第一歩。少しでも不安を感じたら、お気軽にご相談ください。
2026/03/08 12:00
「お箸がうまく使えない」「ボタン留めに時間がかかる」……。【療育コラム】
日々、お子様と向き合う中で、周りの子と比べて「うちの子、少し手先が不器用かな?」と不安を感じることはありませんか?
一生懸命練習しているのに、なかなか上手くいかない。そんなお子様の姿を見て、もどかしさを感じたり、つい「もっとしっかり持って!」と声を荒らげてしまったり……。 子育てに正解がないからこそ、保護者の皆様の悩みは尽きないものです。
本日は、教育・福祉の現場で多くの子どもたちをサポートしてきた株式会社PORTが、「手先が不器用な子への適切なアプローチ」について解説します。 大切なのは、決して無理をさせず、スモールステップで「できた!」の自信を育むことです。
1. 意外な近道?「全身の運動」が手先の器用さを育てる
「手先を器用にするには、手元の訓練をしなければ」と考えがちですが、実は発達には順番があります。 「粗大運動(全身を動かす力)」が安定して初めて、「微細運動(手先の細かい力)」が発達してくるのです。
土台となる体幹や肩周りの力が弱いと、指先にまで意識や力を集中させることが難しくなります。
公園遊びは最高のトレーニング
手先のトレーニングとして特におすすめなのが、意外にも公園の遊具です。
- てつぼう: ギュッと握ることで、手のひらの感覚を養い、握力を育てます。
- ブランコ: 揺れる中でバランスを取ることで、体幹と「踏ん張る力」を養います。
遠回りに思えるかもしれませんが、全身を使って楽しく遊ぶことが、結果として鉛筆やお箸を上手に扱うための「土台」を作ってくれます。
2. スモールステップで「できた!」を積み重ねる
はさみやお箸の練習をするとき、いきなり「完成形」を求めていませんか? 習得が難しい場合は、動作を一つずつ「分解」して教えてあげましょう。
1. まずは「開いて・閉じる」動きだけを練習する
2. 1回だけチョキンと切れる細い紙を切る
3. 長い直線を切る
4. 曲線を切る
このように、ステップを細かく分けることで、お子様は「自分にもできるんだ!」という達成感を得やすくなります。 「できない経験」を繰り返すよりも、「できる経験」を一つずつ増やすことが、お子様の意欲を支える鍵となります。
3. 無理をさせない「補助具」という選択肢
どれだけ頑張っても、今はどうしても苦手……という場合もあります。 そんな時は、便利な補助具(福祉用具)を積極的に活用しましょう。
お箸であればトレーニング箸、鉛筆であれば持ち手を補助するグリップ、定規であれば滑り止め付きのもの。 「道具に頼るのは甘えではないか?」と心配される保護者の方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
道具を使うことで「自分でできた!」という喜びを感じられることの方が、お子様の心の成長にとっては何倍も価値があるのです。 成長に合わせて、少しずつ道具を外していけば大丈夫。まずは自信を持つことから始めましょう。
4. ひとりで悩まず、プロに相談を
子育ては、毎日が試行錯誤の連続です。特に発達に関することは、周りに相談できず孤独を感じてしまうことも多いかもしれません。
そんな風に感じたときは、お気軽に児童福祉の専門家を頼ってください。
私たち株式会社PORTは、お子様一人ひとりの個性に寄り添い、保護者の皆様と共に歩むパートナーでありたいと考えています。 お子様の「得意」を伸ばし、「苦手」を補う方法を一緒に考えていきましょう。
2026/03/01 12:00
「負けそうになると泣き喚いたり、怒ったりして手がつけられない…」【療育コラム】
「負けるのが嫌で、ゲームを投げ出してしまう…」
「負けそうになると泣き喚いたり、怒ったりして手がつけられない…」
日々、お子様と向き合う中で、こんな風に感じることはありませんか?
一生懸命に遊んでいるからこその反応だと分かっていても、毎回のこととなると、保護者の方も「どう接してあげればいいの?」と途方に暮れてしまいますよね。
こんにちは。児童福祉の現場で多くのお子様・保護者様を支援している専門スタッフです。
今回は、「負けを受け入れられない子」への具体的な対応と、心の育みを支えるステップについて解説します。無理をさせず、スモールステップで「負けても大丈夫」を伝えていきましょう。
1. なぜ「負け」がそんなに苦しいの?
大人から見れば「たかがゲームの負け」かもしれません。しかし、発達段階にあるお子様にとって、負けは「自分自身の全否定」のように感じられてしまうことがあります。また、先の見通しを立てるのが苦手なタイプのお子様は、負けた後の「挽回できるチャンス」を想像できず、絶望的な気持ちになってしまうのです。
「負けても自分の価値は変わらない」という安心感を育むことです。
2. プロが教える「負けに強い心」を育む5つのステップ
お子様の特性に合わせて、以下の5つのアプローチを試してみましょう。
① 大人が「負け方の手本」を見せる
まずは大人がゲームで負けた時に、「あ〜、負けちゃった!でも楽しかったね」「次はこうしてみようかな」と、明るく、平気な様子を見せてあげてください。負けても世界が終わるわけではない、というモデルを日常で見せることが、お子様の安心感につながります。
② 「ぎりぎり勝たせる」から始める
負けへの耐性が低い時期は、まず「勝つ喜び」を通じてゲームの楽しさを定着させることが先決です。大人が手加減をして、お子様が「ぎりぎりで勝てる」状況を作りましょう。「自分はやればできるんだ」という自己肯定感が、後の耐性を支えます。
③ 「ぎりぎり負ける」経験を褒める
少しずつ慣れてきたら、大人が「ぎりぎり勝つ」場面を作ります。この時、もしお子様が泣かずに我慢できたり、怒らずにいられたりしたら、結果ではなく「最後までできたこと」や「我慢できたこと」を最大級に褒めてあげてください。
④ 「一瞬で終わる簡易ゲーム」で回数をこなす
ボードゲームのような長い勝負は、負けた時のショックが大きくなりがちです。じゃんけんや、1分以内で終わる短いゲームを活用しましょう。何度も「勝ち・負け」を繰り返すことで、一つひとつの負けの重みを分散させ、耐性を少しずつ高めていくことができます。
⑤ 「負け」にポジティブな価値を付ける
「負けても楽しい空間づくり」を意識しましょう。「負けた人は次に先攻を選べる」といったルールを加えたり、負けた時の悔しい気持ちを「次は頑張ろうというパワーだね」と言語化してあげたりすることで、負けの持つ意味を書き換えていきます。
3. 児童福祉の視点:孤独を感じない子育てを
お子様が感情を爆発させてしまうのは、決して育て方のせいではありません。それは「成長したい」「勝ちたい」というエネルギーの裏返しでもあります。専門的な支援(児童発達支援や放課後等デイサービスなど)の現場では、こうした特性を持つお子様に対して、遊びを通じて社会性を育むプログラムを提供しています。
「うちの子、他の子よりも激しすぎるかも…?」
「毎日、ゲームのたびに喧嘩になって疲れてしまった…」
もし、お一人で抱え込んでいらっしゃるなら、一度私たちにお話してみませんか?
お子様の特性を理解し、ご家庭で今日からできる具体的な「声かけ」を一緒に考えていきましょう。
私たちは、保護者の皆様が笑顔で過ごせる時間を増やすための「伴走者」でありたいと考えています。どんな些細な悩みでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
株式会社PORT 長野県塩尻市・松本市・長野市


